研修医レベル対象の腹部初期診療コース

医学部高学年から研修医3年目程度が,腹痛診療を行うに当たって上級医/専門医に引き継ぐまでに適切な対応を習得することを学習目標とする.

Saturday, July 15, 2006

腹痛のアルゴリズム(AMLS)情報ブログ

急性下痢症のアルゴリズム

・セッティングによって複数ありえる。
・下痢の定義は、200g/日以上の排便で、性状や回数ではない。だが、臨床的ではない。
・一般的には急性の定義は2週間未満だが、日本では3,4日で受診することが多いという印象
・タール便を下痢と誤解している場合があり、注意を要する。

アルゴリズム1(日本、私の場合)
1)全身症状の評価(頻脈、多汗などの甲状腺機能亢進症症状は?、コントロール不良の糖尿病は?)
2)大腸炎症状の有無(血性下痢、発熱、腹痛、しぶり腹などは?細菌性、抗菌薬起因性)。発熱、腹痛、嘔気嘔吐があればまず、感染性腸炎を考える。
3)浸透圧性下痢症の有無(経口摂取禁止で改善はないか、アルコール多飲、乳糖不耐症など)
4)分泌性下痢症の可能性(これら、旅行者下痢症、プロスタグランディン製剤)

診察:
(1)起立性低血圧をみる。
(2)便中白血球をみる(検尿用のテステープも利用可能)。
便中白血球陰性:小腸型:大部分がウイルス、ロタウイルス注意。
     陽性:大腸型:ウイルスは少ない
(補足:検討により感度特異度は20-90%と様々で、治療の適応には利用できない。しかし、便潜血反応と白血球の存在は補助診断にはなり、少なくとも高リスク群では確認すべきか。)

便培養:陽性率は.5-5.6%とかなり低く、ほとんど自然に治るので、便潜血、白血球が陰性なら対症療法のみで様子を見るのも一法。ただし、免疫抑制状態、合併症の危険の高い場合、重症例、IBD症例、栄養師などは勧められる。

内視鏡:一般的には不要だが、IBDとの鑑別(行っても困難な場合が多いが)、C. difficile診断、サイトメガロ感染などのリスクの高い免疫抑制状態、虚血性腸炎が疑われる場合

抗菌薬の適応
・基本的に細菌感染が疑われる場合
・症状として、1日10回以上の下痢、38℃の発熱、血便から1つでもあれば
・下痢の回数は少なくとも、糖尿病などの基礎疾患がある場合と、海外旅行帰り
・抗菌薬を投与する場合は必ず、便培養提出してから。例えば、キャンピロバクター感染と、潰瘍性大腸炎の鑑別は内視鏡、病理検査でも必ずしもできない。

治療:
・細胞外液で脱水を補正する。軽-中等度脱水には、経口補水療法が勧められる。現時点では、大塚のOS-1や、小児用ポカリスウェットが最善か。
・下痢に対して、乳酸菌製剤(ビオフェルミン3g/分3など)⇒タンニン酸アルブミン末3-4g/分3-4⇒ロペミン1-2g/分1-2
(感染性下痢症に対する止痢薬には賛否両論あり。特に旅行者下痢症では勧められる)
・嘔気、痛みに対しても対象療法(プリンペラン、ブスコパン)
・BRATの勧め(バナナ、米、アップル、トースト)
・抗菌薬は想定される細菌に応じて、ST、ニューキノロン、ホスホマイシン、バンコマイシン。ただし、細菌性であっても、死亡率に差はなく、症状改善を数日早くするのみ。