研修医レベル対象の腹部初期診療コース

医学部高学年から研修医3年目程度が,腹痛診療を行うに当たって上級医/専門医に引き継ぐまでに適切な対応を習得することを学習目標とする.

Thursday, April 12, 2007

資料

はじめに
 シミュレーション教育が普及しつつある.これには,安価でリアリティに富んだ模擬人形が利用可能になったこともあるが,「患者で最初に実施する」ということが患者の権利を脅かすという考えが広まってことも大きい.
 現在利用可能なコースとしては,蘇生関連では,ACLS,ICLS,外傷関連では,JPTEC,JATECなど,2006年からは脳卒中コース ISLSが開始されている.救急領域では短時間の判断やチームワークが必要であり,一定レベルを保つには,半年程度での再訓練が必要とされる1,2).
医学教育領域においては,臨床能力の評価法として有用と言われるOSCEが,日本では共用試験におけるOSCEとして臨床実習に入る前の評価として導入され数年が経ち,国家試験にも導入されつつある3).
各症候についての,診療コースは複数あるが,学会レベルで開催しているものは上記ぐらいであると理解している.飯塚病院時代より,山畑先生などが開催されていた「救急初療コース」は興味深い4).
 シュミレーション教育の長所としては,患者に危害を加えるリスクがない,反復練習ができることが挙げられ,短所としては,臨場感がない,臨床もシュミレーション感覚となったり,単一のアルゴリズムに固執するリスクなどが挙げられる.今後も普及していくと思われるが,費用/労力と効果の検討などが必要とされる5).
 通常のコースで採用されている成人教育の理念,ビデオ撮影によるセルフ・リフレクション,フィードバック,単一アルゴリズムの非強要,臨床感のあるシナリオ設定に注意を払っていくと共に,腹部診療コースのたたき台としたい.

1.Makker R, Gray-Siracusa K, Evers M. Evaluation of advanced cardiac life support in a community teaching hospital by use of actual cardiac arrests. Heart Lung 1995;24:116-20.
2. Su E, Schmidt TA, Mann NC, Zechnich AD. A randomized controlled trial to assess decay in acquired knowledge among paramedics completing a pediatric resuscitation course. Acad Emerg Med 2000;7:779-86.
3 2005年度厚生労働科学研究「OSCEトライアルの実施等医師国家試験の改善にかかる研究」
4腹部救急医学会 腹部救急診療における教育 シンポジウム 3 S3-01 初期研修医を対象とした「救急初療コース」と腹痛ブースの構築 山畑 佳篤
5 Paul Bradley, medical education history The history of simulation in medical education and possible future directions. Medical Education 2006; 40: 254-262
http://www.blackwell-synergy.com/doi/abs/10.1111/j.1365-2929.2006.02394.x

Ver.1(20007.04.12)

1. 方針
1.1. 目標
医学部高学年から研修医3年目程度が,腹痛診療を行うに当たって上級医/専門医に引き継ぐまでに適切な対応を習得することを学習目標とする.

1.2 環境・準備
 当面は,病院カンファレンスルームを使用.模擬人形が利用可能になるまで参加者で代用する.
(インストラクターが模擬患者役をする)
教育効果を上げるためには,環境をよくすることが重要とされている.

1.3 受講者
当面は,当科を卒前もしくは卒後研修をしている方を対象とするが,興味があれば拒まないものとする.

1.4 スタッフ
当面は,私たちとする.周りに声をかけつつ,興味があれば拒まないものとする.

1.5 時間割
イントロダクション 5分
アイスブレイキング 5分
シナリオセッション 1セッション5分と、フィードバック・ディスカッション5分
これを、6回程度繰り返す.合計60分.
時間配分は適宜変更とする.
スキルセッション シナリオセッションで話題になったスキルなどを適宜とりあげる.20分程度

2. シナリオセッション
2.1 目標
(1) 全人的態度で接する.医療面接も治療のうちであり,腹部症状には,心理・社会的要因が反映されやすい.
(2) 病態を考えつつ,必要かつ十分な問診を取る.
(3) 病態を考えつつ,必要かつ十分な身体所見を取る.
(4) 病態を考えつつ,必要かつ十分な検査をオーダーする.
(5) 検査結果を解釈し,治療方針を立てる.
(6) 検査結果と,医師側の解釈,治療方針の提案を伝える.

2.2 合意事項
患者役は,スタッフがおこなうが,なれて来たら受講者も行うものとする.
患者役は,事前にシナリオを読んで記憶するように努力するが,セッション中にシナリオを確認してもよいものとする.
医師役に,プレゼンターが簡単な症例提示を行ってからセッションを開始するものとする.
身体所見は,患者役から取り,医師役が所見を要求すれば,プレゼンターが提示するものとする.模擬人形が利用可能になれば,利用する.
検査をオーダーした場合,プレゼンターが結果を提示する(準備されていない場合もある).
進行に大きな問題がない場合は途中で止めないが,時間制限は設けるものとする(5分).

2.3 扱う病態,疾患群
急性腹症 腹痛数例(急性虫垂炎,憩室炎,憩室炎,腸閉塞など)
急性腸炎 吐血
下血 急性薬物中毒
消化管異物 肝不全、肝性脳症
黄疸 胆道感染症(急性胆嚢炎、急性胆管炎)
急性膵炎 尿管結石
上腸間膜動脈閉塞 大動脈瘤破裂・大動脈解離
子宮外妊娠破裂 小児の腹痛
緑内障、片頭痛 うつ病
ACLS(ICLS)

2.4 シナリオ集,小道具(別紙)

3. スキルセッション
3.1 目標 スキルや専門的な知識は多岐に渡るため,シナリオセッションで話題になったものを適宜とりあげて理解を深めることを目標とする.
3.2 具体例 
急性虫垂炎とCRPの経時的変化 憩室炎の入院適応、抗菌薬の選択
腸閉塞の対応 急性腸炎に対する抗菌薬投与
輸血量の計算法 下血のアルゴリズム
急性膵炎治療のガイドライン 尿管結石の治療薬のエビデンス など

4.  アンケート
4.1 スタッフ用
職種: また参加したいか:

参考になった点 苦労した点

良かった点 悪かった点

配布資料について ビデオを撮られることはどうか

その他何でも

4.2 受講者用

参加の動機 どこで知ったか

年齢 性別

職種 他の臨床コースを受講したことがあるが

理解できたか 満足できたか

スタッフの態度は 配布資料は

ビデオを撮られることはどうか その他何でも

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