研修医レベル対象の腹部初期診療コース

医学部高学年から研修医3年目程度が,腹痛診療を行うに当たって上級医/専門医に引き継ぐまでに適切な対応を習得することを学習目標とする.

Monday, May 19, 2008

定期開催は中断となります

少なくとも2年間、定期開催は中断となります。

ご了承ください。

不定期開催予定立ちましたら、連絡いたします。

Sunday, May 04, 2008

腹部診療 Check list

毎回ビデオを見てチェックしているのですが、それなりに骨が折れる仕事で、以下のチェックリストでリアルタイムに他者による評価ができないか次回から試みてみようかと考え中です。

医療面接
□ バイタルが不安定、疼痛があれば,まず安定化をはかったか
□ 自己紹介,挨拶
□ 患者名の確認
□ アイコンタクト
□ 丁寧な言葉遣い
□ 専門用語を用いない
□ 話を中断させない
□ 共感的態度を示したか
□ まとめと確認をする
□ 言い忘れがないかの確認
□ プライバシーへの配慮
□ 主訴についてのOPQRST
Onset 発症様式
Provocation/Prlliative factor 増悪/寛解因子
Quality 性状
Region/Radiation/Related symptoms 部位/放散/関連症状
Severity 強さ
Tempral characteristics 経時的変化(日内変動を含む)
□ 必要に応じて,飲酒,喫煙,職業,社会的背景,アレルギー,妊娠の可能性
□ 解釈モデルを明らかにしたか
□ 診断仮説を持ちながら情報を取捨選択したか

身体診察
□ 診察の了解を得た
□ 必要に応じて看護師に立会いを依頼した
□ 適切に声をかけた
□ 痛みに配慮したか
□ 羞恥心に配慮したか
□ 十分に腹部を露出させたか
□ 視聴打触の順に診察したか
□ 視診を十分できたか
□ 聴診:腸音,必要に応じて血管音
□ 打診:鼓音,痛み
□ 触診時には膝を屈曲させたか
□ 触診:浅い,深い触診.腹膜刺激所見
□ 追加:脾腫,Murphy徴候,CVA叩打痛,直腸診,腹水など
□ 腹部以外も必要に応じて診察できたか
□ 診断仮説を持ちながら取捨選択したか

ワンフレーズ,原因列挙
□ 重要な情報を盛り込んだワンフレーズで症例を適切に表現できる
□ 考えられる原因を5つ程度適切に挙げられる

検査オーダー
□ 診断仮説を持ちながら検査を3つ程度オーダーできる
□ 検査オーダー時には,意図を表現できる

検査結果評価と治療方針決定
□ 適切に検査結果を評価できた

上級医にプレゼンテーション,もしくは患者役に病状説明
□ 報告を受ける人に配慮できた
□ 患者の基本情報,問題点,推論,必要なプランを報告できた


ご意見あればお願いします。

08年度第二回

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急激な臍部痛を訴えて受診した中年女性
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議論になった点
随伴症状が何かが重要(腹痛+下痢,腹痛+嘔吐,腹痛+下血など)
腹痛と随伴症状でどんな疾患の可能性が高まるか
陽性尤度比 陰性尤度比
嘔吐前の疼痛 虫垂炎 2.76
臍周囲の疼痛が右下移動 虫垂炎 3.18 0.5
右下腹部の疼痛 虫垂炎 7.31-8.46 0.28
神経欠損,病巣部 大動脈解離6.6-33 0.71-0.87
疼痛,移動,裂くような 大動脈解離1.2-10.8 0.4-0.99
腹痛後の下痢、下血   虚血性腸炎 データなし

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急な下腹部痛を訴えるバイタル不安定な若い女性
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議論になった点
便秘も鑑別疾患にあがるかも
腹痛の強い人への対応をどうするか。
 バイタル不安定ならまず、安定化
 座位がつらければ臥位に
 鎮痛薬で痛みを取ってから問診、診察を行う
 痛みが取れたからといって安心すると診断の遅れにつながるので、診断の手を緩めないことが重要
見逃しで問題になることが多い2疾患は子宮外妊娠と、虫垂炎
若い女性の下腹部痛は,そうでないとわかるまで子宮外妊娠

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吐血のバイタル不安定な中年女性が搬送
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議論になった点
本人から聞きにくい状況であれば、周りから情報を得てもよかった(家族、救急隊など)
消化管出血におけて直腸診はどの程度重要なのか?(宿題質問)
消化管出血、出血性ショックの時に参考になる身体所見(バイタル、爪床毛細血管血流の回復遅延など)、血液検査結果(血算は不適、BUN/Cre比など)
吐血で初期に行うべきことは案外決まっている

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右上腹部、嘔吐で受診した中年女性、バイタル安定
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医療面接における、まとめと、再確認の意義は
若い人の"急性胆嚢炎"を見たら、PID骨盤腹膜炎も鑑別に上げてください
"急性胆嚢炎"と"急性胆管炎"はまったく違う病気と考える方が分かりやすい
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病態、治療、肝機能異常
胆嚢炎 胆嚢結石が胆嚢管に詰まって胆嚢内で細菌繁殖。手術。あっても軽度
胆管炎 胆管が結石などで詰まって胆管で細菌繁殖。ドレナージ。中等度-高度

胆嚢炎は本当に脂肪食後におきやすいか?(宿題質問)
胆嚢炎の何%心窩部で、何%右上腹部痛か?(宿題質問)

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急な臍から下腹部の激痛を訴えて受診した中年男性
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血管病変を疑う腹痛の特徴
血管病変を想定した場合に行うべきこと
便秘のための腹痛として帰すのは怖い!!!

便秘と腹痛についてのショートレクチャー
・腹痛の原因が便秘であることを確定することは不可能であり、便秘以外の致死的疾患がないことを除外することが最重要である
・正常者でも腹部レントゲンで、大腸内に便が溜まっておりレントゲンの所見はあてにならならず、有用である根拠は存在しない(Am J Gastroenterol 2005 Jul;100(7):1605-15)。
・便秘の定義が存在している。Rome III(Gut 1999; 45(suppl 2):II43);
発症から6ヶ月以上で,最近3ヶ月で上記1-3を満たすもの
1.以下の1~6のうち2つ以上を満たす
a 排便4回に1回以上で,踏ん張らないと便が出ない
b 排便4回に1回以上で,硬い便や塊となった便
c 排便4回に1回以上で,残便感がある
d 排便4回に1回以上で,肛門が塞がったような感覚
e 排便4回に1回以上で,用手あるいは機械を必要とした
f 排便が週に3回以下
2.下剤がないと軟便にならない
3.過敏性腸症候群IBSの診断基準を満たさない"
・過敏性腸症候群の便秘型:腹痛や腹部不快感などの症状が便秘と共にはじまり、排便と共に軽快する等
・慢性便秘、過敏性腸症候群の基準に合わずに、"便秘"のための腹痛で外来を受診する患者はいるのか、は不明